2013年3月22日金曜日

The Ledger Book of Thomas Blue Eagle

『The Ledger Book of Thomas Blue Eagle』
et al Gay Matthaei (ゲイ・マサエイ他)
Ledger book とは、会計帳簿、帳簿ノートのこと。
草原に住む部族スー族の少年Blue Eagle に起こった出来事が、罫線の入った帳簿ノートに、まるで小学生くらいの子供が描いたようなイラストと文章で綴られている絵本。

その昔、アメリカにヨーロッパから白人がやってきて、先住民であるインディアン達は土地を追われ、強制的に保留地に追いやられたり、武力で征服されていく。
やがて、10歳にも満たない少年少女たちが親元から引き離され、白人と同化させられるためにインデイアン寄宿学校に送られるなど文化征服が始まっていく。
この絵本の物語は、そんな史実をもとに創作されたフィクション。
 寄宿学校では、キリスト教への強制改宗、各部族の文化や言語は“野蛮なもの”として禁じられ、生徒は英語の名前がつけられ、米国市民として世間に順応できるように農夫、ブリキ工、大工、印刷工などの職業訓練がおこなわれる。
集められた子供達は、はじめ、英語の読み書きどころか、理解もできないので、絵を描いてコミュニケーションをとったり、出来事を記録したのだけれど、それは、まさに彼らの先祖たちが、岩壁やバッファローの毛皮などに残した絵文字・絵物語と同じ手法なのね。

なぜ帳簿ノートなのか。
もとはバッファローの毛皮などに絵文字を描いていた、草原に住むインディアン達にとって、手に入る紙といえば、こういう罫線の入った帳簿ノート(Ledger Book) だったらしく、彼らに起こった出来事を文章のかわりに帳簿ノートに描き残した絵が“Ledger Art ”として、今でも美術館などに保管されており、この絵本のイラストは、それをヒントに描かれたんだって。

“絵は口ほどにものをいう”
まずは絵をじっくり眺めてから、読むことをオススメします。

0 件のコメント:

コメントを投稿