2013年3月1日金曜日

『リディアのガーデニング』   The Gardener

The Gardener
by Sarah Stewart
illustrated by David Small

アスラン書房『リディアのガーデニング』
文 サラ・スチュワート
絵 デイヴィッド・スモール
訳 福本 友美子
アメリカ人女性サラ・スチュワートの文に、彼女の夫デイヴィッド・スモールがイラストを描いた作品。
1998年のカルデコット賞の銀賞作品。

1930年代、大恐慌の時代。
両親と祖母と暮らす少女リディアが、両親の失業のため、しばらく、都会でパン屋を営むおじさんと暮らすことになります。
おじさんは、いつもむっつりしていて、笑ったことがない。
パン屋のお店もなんだか殺風景。
祖母のガーデニングの手伝いが大好きだったリデイアは、花の種を蒔いたり、球根を植えたり、お店を花でいっぱいにしてゆき、お客さんからは「ガーデナー」と呼ばれるようになります。
おじさんの笑顔が見たくて、リディアは秘密で、ある計画をたてます。
おじさん、気に入ってくれるかな?

リディアが家族へ宛てた手紙で話が進行します。
(あの、『あしながおじさん』のように)
このおじさん、一言も発しないんだけれど、イラストとストーリーから、無口だけどいつもリディアをそっと見守ってくれていて、少しずつこのおじさんの表情と態度が溶解していく様子が伺われます。

この絵本を手にしたとき、スタジオ・ジブリの映画『魔女の宅急便』の中に出てきそうな風景で、黒猫も登場するし、親元を離れてパン屋に住み込み、というのも同じだし、何らか関連性があるのかしら?と、ちょっと驚きました。
また素敵なイラストの絵本に出会ってしまった~!



 
妻が書いた文に、夫が絵を描く、なんて素敵じゃない?
そういえば、『のんたん』シリーズも、ご夫婦で書かれたものだっけ。
そうそう、『おさるのジョージ』もH.A.レイ夫婦の作品だったわね。

●サラ・スチュワートと夫デイビッド・スモール夫妻について
(『リディアのガーデニング』プロフィール欄より抜粋)

サラ・スチュワート(Sarah Stewart)
米国テキサス州育ち。子どもの頃、やせっぽちで近眼でひどい恥ずかしがりやだった。家にお客さんが来ると、ぬいぐるみとお気に入りの本をもってクロゼットに逃げ込んでいた。 図書館と祖母の庭が安心していられる場所だった。 静かなところで一人で過ごすのが好きなので、今でも庭と図書館 はお気に入りの場所である。5月の初めから霜が降り始める頃 まで、ほとんど毎日庭仕事をし、晩秋から冬の間は書斎にこもって書いたり読んだりして過ごしている。 

デイビッド・スモール(David Small)
米国ミシガン州デトロイト育ち。少年時代の体験の中で、芸術家としての現在を作るうえで影響があった3つあるという。 校外学習で訪れた美術館で見た、メキシコの画家ディエゴ・リベラの力強い壁画「デトロイトの産業」。 X線技師だった父が働いていた病院の、一種独特な雰囲気の中でかいま見た生と死。 春休みのたびに訪れたインディアナ州の祖母の家。日中は戸外で過ごし、夕闇が迫ると祖父と停車場に蒸気機関車を見に行った。
テレビ無しに育った子ども時代と、その頃の田舎の生活を体験したことを幸運だと思っている。 現在、ミシガン州セント・ジョセフ川の近くに夫婦で住んでいる。

その他、読んでみたい、サラ・スチュワート&デイヴィッド・スモール夫妻の作品。
The Quiet Place
The Money Tree
The Library(『エリザベスは本の虫』)
The Friend(『ベルのともだち』)
The Journey


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