2013年3月29日金曜日

『トーマス大図鑑』

ポプラ社
『トーマス大図鑑』

息子JoJoが機関車トーマスのDVDを見るのが好きで、“だったらこの本オススメ!”とスーパー主婦YASUKOさんに薦められたのがきっかけで、即、日本のじいじに買ってもらったよ。
(サンキュー、たけじい!)

エピソードに登場する132のキャラクターの詳細、ソドー島マップ、オリジナルの絵本のイラスト紹介に、トーマスのお話が誕生したいきさつなど。
これ1冊読めば、機関車トーマスのすべてがわかる。
この本を片手に機関車トーマスのDVDを見れば、さらにより理解が深まること間違いなし!

キャラクターの性格、蒸気機関車かディーゼル車かなどの種類、前から見た図、横から見た図などが載っている。



子供ってさ、字は読めないけど、キャラクターの顔やちょっとした形の違いで、しっかり区別できてるんだよね。
感心しちゃうよ、ほんと。
息子JoJoの様子が、あれ?静かだな、と思って覗いてみると、じーっとこの本に見入ってたりするよ。
今はまだ字が読めないので、写真や絵をじっくり見てるけど、そのうち、字が読めるようになったら、もっともっと、この本を楽しめるね。

2013年3月22日金曜日

The Ledger Book of Thomas Blue Eagle

『The Ledger Book of Thomas Blue Eagle』
et al Gay Matthaei (ゲイ・マサエイ他)
Ledger book とは、会計帳簿、帳簿ノートのこと。
草原に住む部族スー族の少年Blue Eagle に起こった出来事が、罫線の入った帳簿ノートに、まるで小学生くらいの子供が描いたようなイラストと文章で綴られている絵本。

その昔、アメリカにヨーロッパから白人がやってきて、先住民であるインディアン達は土地を追われ、強制的に保留地に追いやられたり、武力で征服されていく。
やがて、10歳にも満たない少年少女たちが親元から引き離され、白人と同化させられるためにインデイアン寄宿学校に送られるなど文化征服が始まっていく。
この絵本の物語は、そんな史実をもとに創作されたフィクション。
 寄宿学校では、キリスト教への強制改宗、各部族の文化や言語は“野蛮なもの”として禁じられ、生徒は英語の名前がつけられ、米国市民として世間に順応できるように農夫、ブリキ工、大工、印刷工などの職業訓練がおこなわれる。
集められた子供達は、はじめ、英語の読み書きどころか、理解もできないので、絵を描いてコミュニケーションをとったり、出来事を記録したのだけれど、それは、まさに彼らの先祖たちが、岩壁やバッファローの毛皮などに残した絵文字・絵物語と同じ手法なのね。

なぜ帳簿ノートなのか。
もとはバッファローの毛皮などに絵文字を描いていた、草原に住むインディアン達にとって、手に入る紙といえば、こういう罫線の入った帳簿ノート(Ledger Book) だったらしく、彼らに起こった出来事を文章のかわりに帳簿ノートに描き残した絵が“Ledger Art ”として、今でも美術館などに保管されており、この絵本のイラストは、それをヒントに描かれたんだって。

“絵は口ほどにものをいう”
まずは絵をじっくり眺めてから、読むことをオススメします。

2013年3月15日金曜日

『エリザベスは本の虫』The Library

The Library
by Sarah Stewart
pictures by David Small

アスラン書房
『エリザベスは本の虫』
サラ・スチュワート 作
デイヴィッド・スモール 絵
福本 友美子 訳
アメリカ人女性サラ・スチュワートの文に、彼女の夫デイビッド・スモールがイラストを描いた作品。

やせっぽちで近眼で恥ずかしがりやの主人公の少女エリザベス・ブラウンは、お人形遊びをするよりも本を読むのが好き。
年頃になって、他の女の子たちがデートで夜更かしするかわりに、彼女は本を読みふける。
収入を得るために、家庭教師を生業とし、読書に没頭する人生。
本に埋没しながら、いつしか彼女も年をとります。
そして、ある日、彼女が決断したことは?
本好きの人だったら、ただ読書に明け暮れる、こんな人生もいいかも、’と羨ましく思うかもしれません。

この、エリザベス。
今でいうなら、活字ナシでは生きていけない、“活字中毒”といったところでしょうか。
作者のサラ・スチュワートのプロフィール(下記参照)から、彼女自身をモデルにした話かな?と思ったんだけど、どうやら本を読むことをこよなく愛した、実在した友人がモデルらしい。

そういえば、たまに見かけるのが、本を読みながら歩いている人。
(この絵本でもエリザベスが歩きながら本を読んでいますが)
ストーリーの先が読みたくて、読みたくて、待ちきれないんだろうね。
私は、何かをしながらの“ながら”で読書ができないので、とても感心してしまうんだけれど。

昔、付き合っていたボーイフレンドとデートの待ち合わせをするたびに、私が寝坊したり、モタモタと身支度に時間がかかったりしていつも遅刻しては待たせてばかりだったんだけど、いつも、怒ることもなく、持ち歩いていた文庫本を読みながら気長に待っていてくれたっけ。
読書にまつわるそんなエピソードをふっと思い出してしまいました。


●サラ・スチュワートと夫デイビッド・スモール夫妻について
(『リディアのガーデニング』プロフィール欄より抜粋)

サラ・スチュワート(Sarah Stewart)
米国テキサス州育ち。子どもの頃、やせっぽちで近眼でひどい恥ずかしがりやだった。家にお客さんが来ると、ぬいぐるみとお気に入りの本をもってクロゼットに逃げ込んでいた。 図書館と祖母の庭が安心していられる場所だった。 静かなところで一人で過ごすのが好きなので、今でも庭と図書館 はお気に入りの場所である。5月の初めから霜が降り始める頃 まで、ほとんど毎日庭仕事をし、晩秋から冬の間は書斎にこもって書いたり読んだりして過ごしている。

デイビッド・スモール(David Small)
米国ミシガン州デトロイト育ち。少年時代の体験の中で、芸術家としての現在を作るうえで影響があった3つあるという。 校外学習で訪れた美術館で見た、メキシコの画家ディエゴ・リベラの力強い壁画「デトロイトの産業」。 X線技師だった父が働いていた病院の、一種独特な雰囲気の中でかいま見た生と死。 春休みのたびに訪れたインディアナ州の祖母の家。日中は戸外で過ごし、夕闇が迫ると祖父と停車場に蒸気機関車を見に行った。
テレビ無しに育った子ども時代と、その頃の田舎の生活を体験したことを幸運だと思っている。 現在、ミシガン州セント・ジョセフ川の近くに夫婦で住んでいる。

その他、あわせて読みたい、サラ・スチュワート&デイヴィッド・スモール夫妻の作品。
The Quiet Place
The Money Tree
The Friend(『ベルのともだち』)
The Journey
The Gardener(『リディアのガーデニング』)

2013年3月8日金曜日

『大きな木』The Giving Tree

The Giving Tree
by Shel Silverstein

『大きな木』
作:シェル・シルヴァスタイン
旧版 篠崎書林 翻訳:本田錦一郎
新版 あすなろ書房 翻訳:村上春樹
リンゴの木は少年が大好き。
少年は木の幹をよじのぼって遊び、木の枝にぶら下がればブランコになるし、お腹が空けば木になるリンゴを食べ、昼寝をすれば木が木陰を作ってやる。
少年が喜ぶのをみて、木はとてもシアワセ。

やがて少年が大きくなり、リンゴの木とあまり遊ばなくなった。
ある日、青年になった少年がやってきて、モノを買うのにお金が必要なので、お金をくれないかという。
木は、お金はあげられないが、自分の木になるリンゴを売ってお金にしなさい、という。
青年になった少年はリンゴを集めて売りにいってしまった。
木はとてもシアワセ。

またしばらくして、大人になった少年がやってきて、結婚して家族を持ちたいが家がない、家をくれないか、という。
木は、家はあげられないが、自分の木の枝を持っていって家を建てなさい、という。
大人になった少年は、木の枝を持っていってしまった。
木はとてもシアワセ。

ずーっと時がすぎ、老人になった少年がやってきて、どこかへ行きたいから船がほしいから船をくれないか、という。
木は、船はあげられないが、自分の木の幹を切り倒して、船をつくりなさい、という。
そして、老人になった少年は木を幹を切り倒し、船を作っていってしまった。
大好きな少年に与え続ける木は、とてもシアワセ…なんだろうか?
そして、与え続けられた少年は、いつか、その木の愛に気付くことはあるのだろうか?
自分の持つすべてを与え続ける木と、見返りを求めずに自分の身を削って愛情を注ぎ続ける世の中のお母さん達(私の母カズコも含めて)の姿が重なるようで、胸にグっとくるものがあります。
自分が母親になってから読み返してみると、やがて、このわが身を削って生んで育てている(いや、まだ育て始めたばかりの)わが息子も、この少年のように、いつの間にかワタシの手元から離れていってしまうんだろうな、なんて。

でもね、そんなにシンミリすることないのよ~。
子供達が会いに来てくれなくてさみしい、とか、木のように待つだけの受け身は、ワタシはまっぴらゴメンだもの。
木と違って、ワタシ達には“足”がある、クルマの運転だってできる。
子供達が世界の果てにいってしまったら、その世界の果てまで、追いかけて会いにいけばいいんだもん。
なんて、ちょっと論点がずれてしまったかしら。

絵本の裏表紙一面に、作者シェル・シルヴァスタインの写真。
よく見れば、目が優しそうなオジサンだけど、パッと見だと、子供、怖がるよね~。

2013年3月1日金曜日

『リディアのガーデニング』   The Gardener

The Gardener
by Sarah Stewart
illustrated by David Small

アスラン書房『リディアのガーデニング』
文 サラ・スチュワート
絵 デイヴィッド・スモール
訳 福本 友美子
アメリカ人女性サラ・スチュワートの文に、彼女の夫デイヴィッド・スモールがイラストを描いた作品。
1998年のカルデコット賞の銀賞作品。

1930年代、大恐慌の時代。
両親と祖母と暮らす少女リディアが、両親の失業のため、しばらく、都会でパン屋を営むおじさんと暮らすことになります。
おじさんは、いつもむっつりしていて、笑ったことがない。
パン屋のお店もなんだか殺風景。
祖母のガーデニングの手伝いが大好きだったリデイアは、花の種を蒔いたり、球根を植えたり、お店を花でいっぱいにしてゆき、お客さんからは「ガーデナー」と呼ばれるようになります。
おじさんの笑顔が見たくて、リディアは秘密で、ある計画をたてます。
おじさん、気に入ってくれるかな?

リディアが家族へ宛てた手紙で話が進行します。
(あの、『あしながおじさん』のように)
このおじさん、一言も発しないんだけれど、イラストとストーリーから、無口だけどいつもリディアをそっと見守ってくれていて、少しずつこのおじさんの表情と態度が溶解していく様子が伺われます。

この絵本を手にしたとき、スタジオ・ジブリの映画『魔女の宅急便』の中に出てきそうな風景で、黒猫も登場するし、親元を離れてパン屋に住み込み、というのも同じだし、何らか関連性があるのかしら?と、ちょっと驚きました。
また素敵なイラストの絵本に出会ってしまった~!



 
妻が書いた文に、夫が絵を描く、なんて素敵じゃない?
そういえば、『のんたん』シリーズも、ご夫婦で書かれたものだっけ。
そうそう、『おさるのジョージ』もH.A.レイ夫婦の作品だったわね。

●サラ・スチュワートと夫デイビッド・スモール夫妻について
(『リディアのガーデニング』プロフィール欄より抜粋)

サラ・スチュワート(Sarah Stewart)
米国テキサス州育ち。子どもの頃、やせっぽちで近眼でひどい恥ずかしがりやだった。家にお客さんが来ると、ぬいぐるみとお気に入りの本をもってクロゼットに逃げ込んでいた。 図書館と祖母の庭が安心していられる場所だった。 静かなところで一人で過ごすのが好きなので、今でも庭と図書館 はお気に入りの場所である。5月の初めから霜が降り始める頃 まで、ほとんど毎日庭仕事をし、晩秋から冬の間は書斎にこもって書いたり読んだりして過ごしている。 

デイビッド・スモール(David Small)
米国ミシガン州デトロイト育ち。少年時代の体験の中で、芸術家としての現在を作るうえで影響があった3つあるという。 校外学習で訪れた美術館で見た、メキシコの画家ディエゴ・リベラの力強い壁画「デトロイトの産業」。 X線技師だった父が働いていた病院の、一種独特な雰囲気の中でかいま見た生と死。 春休みのたびに訪れたインディアナ州の祖母の家。日中は戸外で過ごし、夕闇が迫ると祖父と停車場に蒸気機関車を見に行った。
テレビ無しに育った子ども時代と、その頃の田舎の生活を体験したことを幸運だと思っている。 現在、ミシガン州セント・ジョセフ川の近くに夫婦で住んでいる。

その他、読んでみたい、サラ・スチュワート&デイヴィッド・スモール夫妻の作品。
The Quiet Place
The Money Tree
The Library(『エリザベスは本の虫』)
The Friend(『ベルのともだち』)
The Journey


『うんがにおちたうし』      The Cow Who Fell in The Canal

ポプラ社
『うんがにおちたうし』
ぶん フィリス・クラシロフスキー
え ピーター・スパイアー
やく みなみもと ちか

THE COW WHO FELL IN THE CANAL
by PHYLLIS KRASILOVSKY
illustrated by PETER SPIER

夏も冬も、来る日も来る日も草を食べミルクをだして、毎日退屈している牛のヘンドリカ。
ミルクを町へ運んでいる馬のピーターから、町がどんなに楽しいところか聞かされて、町へいってみたくなります。
あるとき、うっかり運河に落ちてしまい、そのまま町へ流されてゆきます。
たどりついた町は、ピーターの話していたとおり、楽しいことだらけで、ヘンドリカはおおはしゃぎ!

オランダといえば、チューリップ畑に風車の牧歌的な風景を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
この絵本のイラストは、そんなオランダの田舎の風景や町の様子が綺麗な色彩で描かれており、絵を見ているだけでも楽しい。
私も、この絵本のイラストを見て、子供ゴコロに、このオランダというところに行きたい、と思ったものです。
そして、大人になった今、また読み返してみて、やっぱり大人ゴコロにも、オランダにいってみたいな~と。(いつか行くぞ~!)

そうそう、この下の絵のように、船が来ると上がる橋を“跳ね橋”というらしいのですが、今でもオランダではこのような“跳ね橋”が数多くみられるのだとか。
船が橋の下を通って橋が上がってる間は通行できないから、“橋待ち”でイライラとか渋滞とかないのかしらね~